ひたむきの「ひた」は「直」、「ひたすら」や「ひた走る」の「ひた」と同じで、まっすぐという意味です。まっすぐに見つめている、一途で、一生懸命なまなざしが思い浮かびます。
知識や経験が増えるにつれ、つい、物事を斜めに見ていませんか。何事にも、裏があると思うからでしょうか。わかりきっていると思って、冷たい目でみるからでしょうか。それとも、跳ね返って傷つくのを、心の底で恐れるからでしょうか。
ひたむきな目をしていたころが、誰にでもあったはずです。本当に見たい方向を見ていないから、まっすぐに見ることができないのかもしれません。
いろいろな角度から物事を見ることは、大切なことです。
でも、最後に人を動かすのは、ひたむきな瞳だと思いませんか。
ひた‐むき【▽直向き】・・・
[形動][ナリ]一つの物事だけに心を向けているさま。忍耐強く、いちずに打ち込むさま。「―な努力」「―な情熱」
「ひた」は、「ひと(一)」とも同源で、(いちずに、ただちに、まったく)などの意を表わす接頭語。
花の色と鳥の声・・・・・・それを色音といいます。
花鳥風月は日本人が愛した自然の代表的なもの。
中でも花と鳥は、心を華やかに彩ってくれものです。
でも、目を向け、耳を傾けなければ、その存在に気づかないものともいえますね。
ある時は心を慰め、ある時は勇気をくれ、ある時は一緒に喜んでくれる・・・・・・そんな心の友達。見まわせば、いつでもまわりに満ちあふれています。
三月の誕生色は、楚々とした山桜の薄桃色だそうです。
昔から、花といえば桜。そして、その桜は、山桜のことをさしました。
江戸時代に品種改良されてできた染井吉野と違って、葉と花を一緒に咲かせる山桜は、華やかさの中にも、落ち着きを感じさせてくれます。
そんな山桜が、宵闇の中に浮かび上がらせる景色は、幻想的な夢の世界です。
~蕾七日、咲いて七日、散って七日で、花二十日~
この間、人々は「今日は咲いたか」「明日は散るか」と、そわそわして過ごします。
それでも桜がなければいいとは、思えませんね。
そわそわやわくわくがあるからこそ、のどかな心もあるのです。
ほんのり心を染める二十日間のドラマに、あなたはどんな夢を重ねますか。
・薔薇(ばら)科。
・学名 Prunus × yedoensis(染井吉野)
Prunus lannesiana var. speciosa (大島桜)
Prunus jamasakura (山桜)
Prunus : サクラ属
yedoensis : 江戸の
lannesiana : 園芸家「ラネス」さんの
speciosa : 美しい,華やかな
jamasakura : ヤマザクラ(日本名)
Prunus(プラナス)は、
ラテン古名の「plum(すもも)」が語源。
・英語では、桜の木は「Japanese cherry」、
桜の花は「Cherry blossom(チェリーブラッサム)」。
桜の霊である「木之花咲耶姫(このはなさくやひめ)」が
最初の桜のタネを富士山からまいたといわれ、
「さくやひめ」の名前から「さくら」になったらしい。
なお、「木之花」は「此花」と書かれることもある。
此花咲耶姫 → ”この花(桜)のように美しい姫”。
この名前は「古事記」に出てくる。
春に咲くサクラの花芽は、前年の夏に形成されます。しかし、それ以上、生成されることなく、その後、「休眠」という状態になります。休眠した花芽は、一定期間、低温にさらされることで、眠りからさめ、開花の準備を始めます。これを「休眠打破」といいます。休眠打破は、この秋から冬にかけて一定期間、低温さらされることが重要なポイントです。
そして、春をむかえ、気温が上昇するにともなって、花芽は成長「生成」します。気温が高くなるスピードにあわせて、花芽の生成も加速します。生成のピークをむかえると「開花」することになります。
このように、サクラの花芽の「休眠」・「休眠打破」・「生成」・「開花」は、秋から冬にかけての気温と春先の気温に、大きく関係していることがわかります。
冬のない常夏の国には、日本のサクラは、美しく咲かないということです。サクラは、四季のある美しい日本の国で進化した植物なのです。
色もかわいくて、一粒口に入れるだけで、夢がひろがっていく気がします。
十六世紀、ポルトガル人によってもたらされました。
ポルトガル語でコンフェイト、それに漢字を当てたものが金平糖です。
他に、煙草、南瓜、天麩羅なども、ポルトガル語が語源だそうです。
当て字といえども、漢字に工夫があってわかりますね。
今なら、そのままカタカナで取り入れてしまうところですね。
カタカナも立派な日本語ですが、あまりにもカタカナ語が氾濫してしまった現代・・・・・・。
昔の人々が、こんな丁寧な方法で、外国の言葉を取り入れてきたということも、忘れないでおきたい気がします。
三月の異称といえば、まず、弥生ですね。語源は、木草弥生月
(きくさいやおいつき)が変化したものだということです。
「弥」は、「ますます」という意味ですから、木や草がますます生い茂る月ということになります。
その月に咲く代表的な花が季節の呼び名になることも多く、桃月、桜月という呼び方もあります。
そう、旧暦では、桜が咲くころですから、花咲月、花見月ともいいました。
桜のことを夢見草ともいいます。
そこから、夢見月とも呼ばれるようになりました。
日に日に暖かくなり、春を迎える喜びが、一番感じられる月です。
新しい芽をふき、次々と花を咲かせてくれる草木たち。
それにつられて、私達も、美しい夢を見ることができますね。
【蕗の薹】
・菊(きく)科。
・学名 Petasites japonicus
Petasites : フキ属
japonicus : 日本の
Petasites(ペタシテス)は、ギリシャ語の
「petasos(つば広の帽子)」が語源。
葉が広く大きいところから。
かつて1年の始まりは、「冬至」を基準にかんがえられてきました。
「冬至」は1年で一番昼が短い日。
この日から一日一日、昼の時間が長くなっていきます。
ところが、日脚は長くなっても、気温は「冬至」の日からまだまだ下がっていきます。
感覚的にさらに冬が厳しくなっていくイメージです。
そこで気温が最も低くなる「立春」の日に近い新月の日を一年のスタートの日としたのだそうです。
***中略***
まだ身のひき締まるような冷たい風の中・・・・・・。
そんな中で春は産声をあげるのですね。
***中略***
一番つらい日は一番たくさん希望がもてる日・・・・・・。
「立春」には、昔の人のそんな思いがこめられているような気がします。